こんな解説が欲しかった!ヒトの発生

  • 2021年4月12日
  • 2021年4月10日
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はじめに

この講座は医学生や発生学の初歩を忘れてしまった産婦人科専攻医を対象にしています。

 

今日は産科学の中でも特にイメージが難しい発生学を見ていくことにします。

 

ヒトの発生で最も難しいところはもともと内側にある外胚葉が最終的には胎児を覆うようにひっくり返ってしまうところではないでしょうか?

発生学の成書は、イラストも簡単なようで難しく挫折した人も多いのではないかと思います。

しかも、同じ部位に複数の呼び名があるなどしているところが発生学を難しくしています。

 

今回はこのイメージしにくいヒトの発生を多数のイラストを用いて解説していきます。 

 

専門の先生からは起こられてしまうかもしれませんが、

この講義では発生を出来る限り直感的にイメージしやすいようにかなりシンプルなイラストで示しています。

一部、実際の発生とは異なるところもあります。

この講座を見てから成書に移るとより理解がしやすいのではないかと思いますので、是非ついて来てください。

 

ヒトの発生は胎児の形成とそれを覆う絨毛・胎盤の形成とにわけて考えると理解しやすいです。

まずは胎児の形成について見ていきましょう。

 

胎児の発生

ヒトの受精卵は細胞分裂(分割といいます)を繰り返し胚盤胞と呼ばれる状態で子宮内膜に着床します。

胚盤胞は、胎児になる内細胞塊(胚結節)とその周りを覆い将来胎盤となる外細胞塊(栄養膜細胞)で構成されます。

ちなみに胚盤胞は着床すると胎嚢(GS)として観察されます。

 

まずは内細胞塊がどのようにして胎児になるのかを見ていきましょう。

内細胞塊は分裂を繰り返し、将来、胎児の表皮となる外胚葉と胎児の消化管になる内胚葉になっていきます。

(初期の外胚葉は胚盤葉上層、内胚葉は胚盤葉下層といいます。)

そして次第に外胚葉と内胚葉の中に空間ができてきます。

外胚葉の中にできる空間を羊膜腔といいます。

内胚葉の中にできる空間を卵黄嚢といいます。

さらに分裂を繰り返すと内胚葉と外胚葉を覆うように中胚葉が形成されます。

(胎児以外の中胚葉は胚外中胚葉とも呼ばれます。)

さらに成長すると中胚葉にも空間ができます。

これを胚外体腔と呼びます。

(胚外体腔を覆う中胚葉は、胎児側の臓側胚外中胚葉、絨毛膜側の壁側胚外中胚葉とも区別することもありますが、最終的には羊膜腔が大きくなるにつれ融合してしまいます。)

 

そして羊膜腔は、内胚葉を覆うように拡大していき、最終的に普段見慣れている胎児が完成していきます。

たくさんの言葉が出てきましたが、出てきている言葉は3つです。

外胚葉、中胚葉、内胚葉だけです。

この3つの用語が様々な専門用語で呼ばれるために混乱しがちですが、基本は外胚葉、中胚葉、内胚葉です。

 

胎児となる内・中・外胚葉と胎児以外になる内・中・外胚葉に分けて考えるといいでしょう。

 

胎児の外胚葉は胎児を覆う表皮となります。

胎児以外の外胚葉は羊膜となります。

つまり胎児の表皮と羊膜は同じ外胚葉由来です。

初期の羊水が皮膚だけでなく羊膜からも産生されるのは起源が同じだからです。

ちなみに皮膚には角質層が形成されてしまうため次第に羊水を産生しなくなってしまいます。

 

胎児の中胚葉は最終的には心臓、腎臓、脾臓を含めた血管系、筋肉、骨などに分化していきます。

胎児以外の中胚葉は臍帯や胎盤の血管へと分化していきます。

 

胎児の内胚葉は消化管、肝臓、肺に分化していきます。

胎児以外の内胚葉は卵黄嚢となり成長とともに退化していきます。

 

胎盤の発生

胎盤(絨毛)は胎児となる内細胞塊の周囲を取り囲む栄養膜細胞から作られます。

まず内細胞塊の周りを細胞性栄養膜細胞と呼ばれる細胞が取り囲み、その外側を細胞性栄養膜細胞から分化した合胞体栄養膜細胞が取り囲みます。

なぜ合胞体というかというと単核細胞の栄養膜細胞同士が合体するからです。

そのため合胞体栄養膜細胞は一見、多核細胞に見えます。

絨毛はこの細胞性栄養膜細胞と合胞体栄養膜細胞の2種類の栄養膜細胞細胞によって形成されます。

合泡体栄養膜細胞はどんどん肥厚していき内部に空洞が形成されます。

ここに子宮内膜からの血管が侵入し、空洞に母体からの血液が満たされます。

その空洞に根のように絨毛が形成されて胎盤が作られていきます。

ちなみに細胞性栄養膜細胞と合胞性栄養膜細胞を合わせて絨毛膜といいます。

胎盤部位には絨毛が形成されるので絨毛膜有毛部と呼ばれ、絨毛が形成されない部位は絨毛膜無毛部と呼ばれます。

絨毛膜外栄養膜細胞と中間型栄養膜細胞

絨毛が成長しすぎると対側まで達し、細胞性栄養膜細胞が合胞体栄養膜細胞を貫通し子宮内膜に露出するようになります。

そこから出てくる細胞性栄養膜細胞を絨毛膜外栄養膜細胞(EVT)とも呼びます。

ちなみに細胞性栄養膜細胞から合胞体栄養膜細胞となる中間の性質をもった細胞を中間型栄養膜細胞といいます。

この中間型栄養膜細胞と絨毛膜外栄養膜細胞は同じような性質を持っていると言われています。

ちょっと臨床

このゾンビのような中間型栄養膜細胞から発生する腫瘍が、

絨毛性疾患でわかりにくい絨毛部トロホブラスト腫瘍(PSTT)と類上皮性トロホブラスト腫瘍(ETT)です。

PSTTは絨毛部でも胎盤側の絨毛膜有毛部の中間型栄養膜細胞から発生し、

ETTは胎盤とは逆側の絨毛膜無毛部の中間型栄養膜細胞から発生します。

いかがでしたでしょうか?

少しは胎児の発生について理解できたでしょうか?

この講座をきっかけに成書で是非、ヒトの発生について理解を深めていってください。

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