イラストから理解する肩甲難産の対処法

  • 2020年9月13日
  • 2020年9月17日
  • 産科
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今日は肩甲難産について解説したいと思います。

肩甲難産とは頭は出たけど恥骨に肩が引っかかって体が出ない状態をいいます。

そんな肩甲難産について、

肩甲難産の合併症

肩甲難産の解除の原理

具体的対応法

私の師匠に教わった方法

について順に解説していきます。

 

肩甲難産の合併症

肩甲難産の合併症で最も気をつけないといけないことが腕神経叢麻痺です。

肩が引っかかっているのに無理に児頭を出そうとすることで腕神経叢が引っ張られてちぎれてしまうことに起因します。

そのちぎれ方によって麻痺の表れ方も様々です。

さてこのように肩甲難産は無理して出そうとすると腕神経叢麻痺などの重大な合併症に繋がってしまいます。

ここでしっかりと対応法を覚えていきましょう。

 

肩甲難産の解除の原理

肩甲難産は恥骨と仙骨の間の産道の大きさが肩よりも狭いことが原因です。ならどうしたら解除されるかという、

産道を広げること

胎児の肩を狭めること

が必要となります。

産道を広げる方法としては、

①McRoberts位

②導尿

③会陰切開を広げる

です。

ここで一番大切なのはMcRoberts位です。

 

胎児の肩を狭める方法は3つです。

①片方の肩から出す

②肩をすくめる

③体をひねる

これだけです。

それぞれを試していけば大体出てきます。

McRoberts位

まずはMcRoberts位です。

これをすることで恥骨が上方へ上がってくるため産道が物理的に広がります。

ちなみにちょっと体位をみてください。

足をしっかりとあげて背骨を丸める体勢。

これはうんこ座りです。和式便所での姿勢です。

これこそが産道が最も広がり分娩にもっとも適した姿勢となります。

通常の分娩でも積極的にMcRoberts位をとることは有効となります。

ちなみに足を上げるだけでなく、

●しっかりと妊婦さんに産道を見てもらうこと

●痛くても仰け反らない、つまり背中を丸くしてもらうこと

がポイントとなります。

 

Rubin法、Wood Screw法、Reverse Wood Screw法

 

さて肩甲難産で胎児の肩がでない場合、McRoberts位をしてもらいます。

そして恥骨上を心臓マッサージのように圧迫することで前在、つまり恥骨側の引っかかっている肩を恥骨の下へくぐらせようとします。

それでもダメなら、図のように直接肩をすくめるような動きになるように手を入れて児背側から恥骨側の肩を押します。

これをRubin法といいます。

これでもでなければ胎児の体をひねります。

雑巾を絞るようにすると細くなりますよね。そんなイメージです。

まずはRubin法と同じ方向にひねります。

これをWood Screw法といいます。

それでもダメなら逆にひねってみます。これをReverse Wood Screw法といいます。

 

それでもダメであれば仙骨側の肩から出すようにします。

上肢を胸から顔の前になぞるようにして上肢のみを娩出し引っ張ると後在、つまり仙骨側の肩が抜けるため肩甲難産が解除されます。

それでもダメであれば四つん這いにしたり、最終的には鎖骨を骨折させてでも娩出をトライしてきいきます。

 

以上が教科書に記載されている肩甲難産の対処方法です。

 

師匠から教わった肩甲難産の対応法

最後に私の師匠から教わった肩甲難産の対応方法について紹介します。

方法は次の通りです。

①McRoberts位をとってもらう。

②いきんでもらうのをやめてもらう。

③顎と肩の間に恥骨がくるよう児頭を挙上する。

④後在(仙骨側)にできたスペースに手を入れて人差し指を胎児の脇に入れる。

⑤そのまま脇を引っ張りだす。

①②

まず肩甲難産は恥骨に肩が引っかかっている状態です。

そのままいきみ続けてもさらに肩が引っかかってしまうだけで肩甲難産は解除されないのでまずいきんでもらうのをやめてもらいます。

後在、つまり仙骨側は仙骨があるため作れるスペースがありません。

しかし恥骨側は恥骨以外にはスペースがあります。これを利用します。

首元に恥骨がくるようにしたら仙骨側に十分なスペース(手が入る余裕)が生まれます。

脇に指を入れて引っ張りだすと、ちょうど肩が斜めになり産道を通過できるようになります。

 

以上が肩甲難産の対処方法のまとめです。

 

オススメの参考書

肩甲難産に関する参考書は今までほとんどありませんでしたが、2019年にDVDによる動画解説付きの参考書が発売となりました。

肩関節の動きなど肩甲難産とその対応の理論を動画を通してわかるためいい本だと思います。一人一冊まではいきませんが、一病院に一冊はあってほしい参考書です。


 

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