分娩の3要素ってみなさん覚えていますか?
①娩出物、②娩出力、③産道でしたよね。
そして分娩のときに、この3つの要素を考えると思っている人も多いかと思います。
実際に多くの参考書や教科書では分娩の3要素は、分娩の項に記載されています。
しかし、この分娩の3要素は分娩のときに考えていてはもう遅いのです。
娩出力は陣痛促進薬などでなんとかなりますが、他の2要素はどうにもなりません。
*助産師さんの仕事はお母さんの本来もつ娩出力を最大限発揮させてあげることです。寄り添い共に過ごすことで生まれる本当に強い力です。
胎児が大きくて、産道が狭くて難産そうだなと
分娩のときに考えていてはもう遅いのです。
ではいつ考えるか?
それは妊娠初期の妊婦健診から考える必要があります。
妊娠中はどうしても運動量が減少するため、普段の食事量では体重は増加し過ぎてしまいます。
もし体重が増加しすぎてしまうとどうなるかを考えるときにこそ、
分娩の3要素を考える必要があるのです。
体重が増え過ぎてしまうということは、栄養過多の状態です。
そして妊婦の体重に比例して胎児の体重も増加傾向となってしまいます。
つまり娩出物が大きくなりすぎるのです。
また娩出物が大きくなると、子宮が通常よりも引き伸ばされてしまい、
まるで伸びたゴムみたい子宮の収縮量が低下してしまいます。
そうです。娩出力が低下してしまうのです。
さらに体重が増加するとどこに肉がつくと思いますか?
実は膣に肉がついてしまうのです。
つまり産道が狭くなるのです。
このように娩出力の3要素を考えると体重の過度な増加は難産につながることがよくわかったのではないかと思います。
反対に、あまりにも体重が増えないとどうなるでしょうか?
今度は子宮も力がなくなってしまうため、娩出力の低下に繋がります。
実際には妊婦健診を通して分娩の3要素を考えることで、
安産または難産になるのかどうかを予想しながら、
実際のお産に立ち会っているのです。
妊婦健診において最も大切なことは、
難産にならないように妊婦健診を通して適切に体重を管理することで、
安全なお産につなげてあげることです。
難産はお母さんも苦しいですが、赤ちゃんにとっても同じだけ苦しいのです。
もちろん尿検査、血圧測定、そして胎児エコーも、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症、また胎児奇形の早期発見により、それぞれの病態にあった安全なお産につなげるためでもあります。
妊婦健診はどうしてするのか?
それは分娩の3要素を考えながら、安全なお産につなげるために妊婦健診をするのです。