分娩の3要素の本当の考え方

  • 2020年5月6日
  • 2022年3月5日
  • 産科
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分娩の3要素ってみなさん覚えていますか?

①娩出物、②娩出力、③産道でしたよね。

そして、分娩のときに、この3つの要素を考えると習ってきた人が多いと思います。

実際に多くの参考書や教科書では分娩の3要素は、分娩の項に記載されています。

しかし、この分娩の3要素は分娩のときに考えていてはもう遅いのです。

娩出力は陣痛促進薬などでなんとかなりますが、他の2要素はどうにもなりません。

助産師さんの仕事はお母さんの本来もつ娩出力を最大限発揮させてあげることです。寄り添い共に過ごすことで生まれる本当に強い力です。

胎児が大きくて、産道が狭くて難産そうだなと分娩のときに考えていてはもう遅いのです。

ではいつ考えるのでしょうか?

それは妊娠初期の妊婦健診のときからです。

妊娠中はどうしても運動量が減少するため、普段の食事量でも体重は増加しやすくなっています。

もし体重が増加しすぎてしまうとどうなるかを考えるときにこそ、

分娩の3要素を考えるのです。

体重が増え過ぎてしまうということは、栄養過多の状態です。

そして妊婦の体重に比例して胎児の体重も増加傾向となってしまいます。

つまり、娩出物が大きくなりすぎるのです。

また娩出物が大きくなると、子宮が引き伸ばされてしまい、

まるで伸びたゴムみたいになってしまうことで子宮の収縮量が低下してしまいます。

そうです。

胎児が大きくなりすぎると娩出力が低下してしまうのです。

さらに体重が増加するとどこに肉がつくと思いますか?

実は膣に肉がついてしまいます

つまり産道が狭くなるのです。

このように娩出力の3要素を考えると体重の過度な増加は難産につながることがよくわかったのではないかと思います。

反対に、あまりにも体重が増えないとどうなるでしょうか?

今度は子宮も力がなくなってしまうため、娩出力の低下(微弱陣痛)に繋がります。

実際には、産婦人科医は妊婦健診を通して分娩の3要素を考えながら

安産または難産になるのかどうかを予想します。

そして、実際のお産に立ち会っているのです。

妊婦健診において最も大切なことは、

難産にならないように妊婦健診を通して適切に体重を管理することで、

安全なお産につなげてあげることです。

難産はお母さんも苦しいですが、赤ちゃんにとっても同じだけ苦しいです。

もちろん、妊婦健診は体重管理だけではありません。

尿検査は妊娠糖尿病を、血圧測定は妊娠高血圧症を、そして胎児エコーも胎児奇形の早期発見につながります。

そして、それぞれの病態にあった安全なお産につなげるためでもあります。

妊婦健診はどうしてするのか?

それは分娩の3要素を考えながら、安全なお産につなげるためなのです。

 

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