前回までの講義では主に微弱陣痛の概論について説明してきました。
はじめに 前回(第1回(回旋)、第2回(分娩第1-2期 胎児娩出まで)、第3回(分娩第3期 胎盤娩出))までは正常分娩について説明しました。 [sitecard subtitle=関連記事 url= https://obgynsc[…]
今日は特に続発性微弱陣痛について説明していきます。
微弱陣痛や分娩停止の原因はいろいろとあります。
各回旋の段階において、どんな異常があるのかをまとめました。
それでは順番に各過程について見ていきましょう。
第1回旋(固定)の異常
この時期の異常として大きく3つ挙げられます。
①第2回旋が先行してしまう(高位縦定位)紫矢印
本来であれば第1回旋してから第2回旋を行いますが、
第1回旋をせずに第2回旋を行ってしまう場合です。
骨盤に固定すらしないので、分娩は進まず帝王切開となることが多いです。
②第1回旋の異常 青矢印
本来であれば胎児はうなずくように頭を動かすことで先進部が後頭部となります。
しかし、なんらかの理由でしっかりと第1回旋をしなかったり、
逆に第1回旋とは反対方向に顔を向けたりする場合です。
図のように頭部のどこから進むのかによって5つに分類されます。
基本的には大泉門が先行する前頭位まではお産可能ですが、
それ以上に顔をのけぞらせると経膣分娩は不可能なことがほとんどです。
第1回旋の異常を考えるとき、
胎児の頭を長方形と考えてみるとわかりやすいと思います。
基本的には第1回旋を行うと産道を児頭の一番小さな直径である小斜径で通過することができます。
反対にもっとも長い対角線である大斜径は通過することはできません。
*児頭の赤い部分は骨重積によって変形ができる部分です。
③児頭骨盤不均衡
骨盤にくらべ児頭が大きい場合、固定すらできません。
基本的に帝王切開です。
そのため、
第1回旋すらできないため、内診をすると大泉門を触れることができます。
これが低在横定位との違いです。
また低在横定位との違いは児頭の高さです。
児頭不均衡であれば、先進部の高さは0よりも高いです。
それに対して、低在横定位であれば、+2以上は先進しています。
第2回旋の異常
大きく3つ挙げられます。
①第2回旋の停止(低在横定位)黄色矢印
児頭が回転せずにそのまま骨盤奥へ潜り込んでしまう場合です。
ちなみに第1回旋は終了しているため、先進部は小泉門です。
そのため、内診すると大泉門は基本的には触れません。これが児頭骨盤不均衡との違いです。
②後方後頭位 紫矢印
第2回旋とは逆方向に児頭が回転してしまう場合です。
③児頭骨盤不均衡
第1回旋は可能でもそれ以降、産道に比較して児頭が大きい場合です。
子宮口が全開するまでは基本的に帝王切開です。
☞ちょっと臨床
これらは基本的には分娩が進まなくなってしまうため、微弱陣痛の原因となります。
ここで大切なことは産瘤です。
産瘤とは頭のむくみです。
狭いところを大きな頭が通ろうとするとだんだん頭が腫れてきます。
すると一見、頭が下がってきて分娩が進行してきているように見えますが、実は児頭実質は全然下がってきていないことがあります。
産瘤がある場合は注意が必要です。
第3回旋の異常
教科書としては書かれていませんが、分娩進行の流れとして、ここに記載しました。
子宮の出口が全開、つまり十分に開いていても、それ以降が狭い場合があります。
これを軟産道強靭といいます。
子宮口が全開しているので、帝王切開よりも鉗子分娩や吸引分娩の方がより素早く胎児を娩出できるため使用されることがあります。
第4回旋の異常
肩甲難産です。巨大児によく見られ、胎児の肩が母の恥骨に当たってしまい出られない場合です。これについてはまた特集します。
いかがでしたでしょうか?なんとなくでもイメージはつかめましたか?