国家試験でもおなじみですが、妊娠悪阻(つわり)ではビタミンB1(チアミン)が欠乏しやすくなります。
ウェルニッケ脳症や脚気の予防のために輸液にビタミンB1を加える必要があることが過去に何度も出題されています。
では、どうしてビタミンB1だけが不足しやすいのでしょうか?
その答えは胎児の発達に隠されています。
ビタミンB1はブドウ糖のエネルギー代謝に必要不可欠なビタミンです。
具体的には、クエン酸回路とよばれるブドウ糖を酸素と反応させてエネルギーを取り出す化学反応で使用されます。
胎児は脳の成長のために大量の酸素とブドウ糖を消費します。
特に12週以降は胎児循環が完成し脳の発育に大量のブドウ糖が必要となるため、同時にビタミンB1の需用量も増えるのです。
そのため多くのビタミンB1が胎児によって消費されてしまうため、
母親に必要なビタミンB1が欠乏しやすくなるのです。