もう暗記しない!面白いほど理解できるBPS 徹底解説 Part2

  • 2021年10月31日
  • 2021年11月1日
  • 産科
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さて前回はBPSの評価項目について見てきました。

今回は実際にどのような場面でBPSを使うのかについて見ていきましょう。

 

NSTとBPSの使い分け

胎児の状態を評価する方法はいくつかありますが、特に有名なのは、NSTとBPSでしょう。

NSTもBPSも胎児の状態を評価する方法ですが、ではどのように使い分けるのでしょうか?

 

今回はこの疑問に答えます。

 

基本的に胎児の状態はまずNSTで評価します。

それは最も簡便に胎児の状態を評価することができるからです。

 

NSTでは、まず「reassuring fetus status」(=安心できる胎児の状態)であるかどうかを確認します。

「reassuring fetus status」とは、

①正常な基線細変動

②正常な心拍数

③一過性頻脈がある、一過性徐脈がない

この3つの条件を満たした場合のことを言います。

 

「reassuring fetus status」は「reassure」、つまり「安心させる波形」という意味で、この3条件が揃えば胎児はまずもって元気であるということになります。

 

*もしNSTやCTGの評価方法が分からなければこちらの記事を参照してください!

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では「reassuring fetus status」が見られない場合はどうかというと、決して胎児が元気でないというわけではありません。

実は元気だけど、「reassuring fetus status」の条件を満たさない胎児はたくさんいます。

 

そこで登場するのがBPSです。

 

BPSを評価することで、「reassuring fetus status」ではない(non-reassuring fetus statusと言います)胎児が、実際は元気なのかそうでないかを確認することができます。

 

BPSは①NST、②呼吸様運動、③胎動、④筋緊張、⑤羊水量の5項目で点数を付けます。

そして、経過観察ができるのか、胎児娩出をした考慮したほうがいいのか、それともすぐに娩出したほうがいいのかを判定します。

 

Modified BPS

BPSは正確に胎児の状態を評価できる一方で、30分以上時間をかけないといけないという欠点があります。

そこでもっと簡単に胎児機能評価をできないかと考えられたのがmodified BPSです。

これは①急性の胎児の低酸素状態を最も早く反映するNST②慢性的な胎児の低酸素状態を反映する羊水量の2項目のみで胎児の状態を評価します。

 

 

☞ちょっとここでCTG、NST、CST、VAS 何が違うの?

胎児心拍数モニタリングを勉強しているといろいろな言葉が出てきます。

・CTG(Cardiotocogram: 胎児心拍陣痛図)

・NST(Non-Stress Testノンストレステスト)

・CST(Contraction test: コントラクションテスト)

・VAS(Vibrio Acoustic Stimulation: 音振動刺激)

などいろいろな言葉が登場します。

 

これらは胎児の心電図と母体の陣痛を見ているのには変わりありませんが、状況によって呼び方が違います。

ちょっと整理してみましょう。

 

陣痛が来てから胎児の心電図と子宮収縮の両方をモニターするものをCTG(Cardiotocogram: 胎児心拍陣痛図)といいます。

陣痛と胎児心拍を記録するので、その名の通り胎児心拍陣痛図といいます。

 

陣痛が来ているときにモニターするのがCTGであれば、陣痛が来ていない時は何て呼ぶのでしょうか?

 

それは胎児心拍数モニタリングはどんな条件で記録するかで名前が変わってきます。

 

陣痛など子宮収縮も何もない状態での胎児心拍数モニタリングをNST/ノンストレステストといいます。

陣痛が来ていない、つまり胎児にとってはストレスフリーなのでNSTと呼ばれます。

 

しかし、一過性頻脈が無かったり胎児が寝ていたりすると、reassuring fetus statusなのかどうか、つまり元気があるのかないのか分からないことがあります。

 

そこで登場するのがVAS(Vibrio Acoustic Stimulation: 音振動刺激)です。

これは大きな音と振動で胎児を刺激してCTGを評価します。

ちょうど寝ている人に「起きて!」と呼びかけているのと同じです。

 

CST(Contraction Stress Test: コントラクションテスト)は、人工的に子宮収縮を起こさせてその反応(波形の変化)を見て胎児の状態を把握します。

人工的に陣痛のような子宮収縮を起こさせてCTGを評価するので、胎児にとってはストレスがかかります。

そのため、NSTの反対の意味を込めてCSTと呼ばれます。

ちょうど寝ている人を揺すって起こしているのと同じです。

しかし、子宮を収縮させるということは子宮・胎児への血流も少なくしてしまうリスクもあるため現在ではほとんど行われていません。

まとめ

胎児の心電図と母体の陣痛を見る胎児心拍数モニタリングは測定する時期・目的で名前が異なります。

 

・陣痛が来る前(例:切迫早産や胎児発育不全で入院中)に見るのがNST。

・もしNSTでreassuring fetus statusを確認できない場合(例:胎児が寝ているとき)に使うのがVASやCST。

現在ではほとんどCSTは行われないため、胎児のreassuring fetus statusを確認できない場合はBPSで胎児の機能を評価します。

 

そして、陣痛が来てからはCTGと呼びます。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

今回はBPSについて見てきました。

おそらくBPSに対する苦手意識が少しはとりのぞけたのではないでしょうか?

 

是非、過去問などを通して今回学んだ知識にどんどん知識の肉付けしていってください。

 

以上です。

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