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NT肥厚と胎児循環
前回の記事で胎児循環についてお話ししました。
胎児計測は、週数が進むにつれ、胎嚢(GS)、頭殿長(CRL)、そして児頭大横径(BPD)の順に測定します。
なんとなく流れで覚えているかもしれませんが、ちゃんと理由があるんです。
胎児計測を考えると進化と発生[…]
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ちなみにNT(Nuchal Translucency)肥厚という単語を聞いたことはあるでしょうか?
11週から13週で測定する頸部浮腫のことを指します。
しかし、どうして頸部に浮腫ができるのでしょうか?
それは胎児循環で脳の発達のために主に頭部に血流を送っているからです。
頸部浮腫はあくまで浮腫です。
そして、浮腫のできる疾患で代表的な疾患は心不全です。
成人の心不全では下腿浮腫などが有名ですが、
初期の胎児は頭部に多くの血流が行くので頸部に浮腫が出てしまうのです。
つまりNT肥厚があった場合は、心疾患が隠れている場合があるのです。
一般的に、NT肥厚といったらダウン症と1対1対応で覚えている方も多いと思いますが。
しかし、それはちょっと違います。
大切なことは、ダウン症は心奇形を合併していることが多いということです。
ですので、実際にはNT肥厚している胎児を見た場合、
心疾患を合併していることがあり、その中にはダウン症もある
と考えるのがいいでしょう。
もしNTが肥厚しているかもしれないと思った場合は、その後の妊婦健診でより慎重に心臓を見ることが大切です。
ちなみに心奇形は最も多い奇形で100人に1人に見られます。