それではここからは月経不順についてみていくことにしましょう。
月経不順を見ていく前に次のことをしっかりと覚えていてください。
- 月経周期には排卵前の卵胞期と排卵後の黄体期があること。
- 卵胞期には卵胞からエストロゲンを分泌されること。
- 排卵後に黄体ができること。排卵がなければ黄体はできないこと。
- 黄体期には黄体からプロゲステロンを分泌すること。
上のことをしっかりと覚えていてください。
他にむずかしいことはいいです。
頻発月経と稀発月経・無月経
月経不順は大きく分けると月経がなかなか来ない無月経・稀発月経とすぐに月経が来てしまう頻発月経に分けられます。
月経不順の原因
月経不順の原因は卵胞期または黄体期が短くなったり長くなったりすることが原因です。
基本的には卵胞期がまず影響を受けて、そのあとに黄体期が影響を受けると考えてください。
まずは頻発月経を見ていきましょう。
頻発月経を理解するには性成熟期から更年期を経て無月経になる過程を理解するとわかりやすいと思います。
頻発月経
卵胞期の短縮
30歳代後半になると残存卵子が少なくなり深く眠っている卵子を成長させようとFSHの分泌が上昇します。
すると大量のFSHの栄養で急速に卵胞が成長してしまいます。
つまり卵胞期が短くなります。
黄体期の短縮(黄体機能不全)
急速に成長した卵胞からはどうしても質の悪い黄体が作られてしまいます。
つまり黄体から分泌されるプロゲステロンが少なくなったり黄体の寿命が短縮したりします。
黄体期が短縮することによる頻発月経はプロゲステロンによる消退出血が起こるため、性器出血を月経と感じます。
つまり月経周期が早くなって不正になったと感じます。
無排卵(1度無月経)
さらに卵胞の成長が早まると排卵ができなくなってしまいます。
つまり無排卵となります。
もちろん排卵しなくても卵胞からはエストロゲンは放出されます。
排卵しない卵胞はエストロゲンを出し続けるため子宮内膜はどんどんと肥厚していきます。
しかし、肥厚しすぎるとやがてその分厚さ(高さ)に耐えきれなくなって崩壊します。
つまりエストロゲンによる破綻出血です。
破綻出血はプロゲステロンによる消退出血とは異なり、少量の出血量が長期感続くため、むしろ不正出血と感じます。
月経なのかよくわからないと感じる人もいます。
閉経(2度無月経)
やがて残存卵子が0(実際には全くないわけではありません)になると卵胞すら育たないためエストロゲンも放出されなくなります。
エストロゲンによって子宮内膜も分厚くなるので、それがなくなるということは月経が起こらないということです。
稀発月経
続いて稀発月経について見ていくことにしましょう。
稀発月経と続発性無月経は基本的に同義と考えてもらうといいでしょう。
考え方は頻発月経と同じです。
卵胞期の延長
なんらかの理由でFSHの分泌が低下したり、FSHに対して卵胞の反応が乏しくなったりしてしまうと
なかなか排卵するまで卵胞が成長しないため卵胞期が長くなってしまいます。
もちろん排卵されるので黄体が形成され、黄体から分泌されるプロゲステロンによる消退出血が起こります。
そのため月経が遅れたなどと感じられます。
黄体期の延長
基本的に黄体期は短縮することはあっても延長することはほとんどありません。
しかし、卵胞期が延長、つまりゆっくりと成長した卵胞が黄体となるとゾンビのように黄体の寿命が延長することがあります。
これを黄体退縮不全といい、プロゲステロンの分泌が遷延してしまいます。
これも一種の黄体の機能不全です。
ちなみに黄体期が延長するとプロゲステロンによる消退出血が起こる場合と破綻出血をきたす場合があります。
プロゲステロンの分泌が単に長いだけなら消退出血が起こるため月経として自覚されます。
しかし、プロゲステロンが十分に消退しないまま次の月経周期が始まってしまうと、以前説明した仕組みで破綻出血が起こるため月経なのか不正出血なのかわからないような出血が起こります。
無排卵(1度無月経)
卵胞期があまりにも短縮しても排卵が起こらずに黄体は作られませんが、卵胞期が長くなりすぎてもうまく排卵できずに黄体が作られなくなります。
もちろん排卵はされなくても卵胞がなくならない限りエストロゲンは放出されるため子宮内膜は増殖して破綻出血が起こります。
頻発月経でも無排卵となりますが、その違いは卵胞の成長のスピードの違いです。
*低栄養の場合はFSHの分泌が低下するため月経周期が延長して稀発月経・無月経となります。。
低栄養がさらに重症化するとLHサージすら起こらなくなるため排卵が起こらなくなり、次第に無月経となってしまします。
さてここまで機能性不正出血と月経不順について見てきました。
この2つは重なるところもあるのでもう一度しっかりと整理しましょう。
月経不順
卵胞期の短縮や延長による月経不順では排卵は起こります。
つまり黄体は形成されます。
そのため黄体から分泌されるプロゲステロンによる消退出血が起こるため量や出血期間からも月経血と理解されるため生理が乱れたなどと自覚されることが多いです。
なぜなら月経(プロゲステロンによる消退出血)では基本的には子宮内膜が全部剥がれ落ちるので出し切るのにそれなりの量と時間がかかるからです。
不正出血?月経不順?
月経不順がさらにひどくなると排卵されなくなくなるためエストロゲンやプロゲステロンによる破綻出血を来たすようになります。
そうなると全ての子宮内膜が剥がれるわけではないのでたらたらと少量の出血がつづいたり、出血・止血を繰り返したりとむしろ不正出血として自覚されます。
月経不順の視点からは無排卵性稀発月経や無排卵性頻発月経とも言われますが、不正出血という視点では排卵性機能性出血や無排卵性機能性出血ともいわれます。
いかがでしたでしょうか?月経不順について少しでも理解が深まりましたでしょうか?
以上が月経不順と不正出血でした。
次回は月経不順の定義についてまとめます。